Core Web Vitalsとは何か
Core Web VitalsはGoogleが定めた、ウェブサイトのユーザー体験を数値化した指標です。LCP・INP・CLSの3つで構成され、それぞれ「読み込みの速さ」「操作の応答性」「視覚の安定性」を表します。
2021年からGoogleの検索ランキング要因に正式に組み込まれており、特にモバイル検索では数値の良し悪しが順位に影響します。同じ内容のサイトなら、速いサイトのほうが上位に表示される、という単純な原則です。
LCP(Largest Contentful Paint)を改善する
LCPは「ファーストビューで一番大きな要素が表示されるまでの時間」。多くのサイトではヒーロー画像か大きな見出しテキストがこれに該当します。目標は2.5秒以内です。
画像の最適化
ヒーロー画像の容量が500KB以上ある場合、ほぼ確実にLCPを悪化させています。次の対策が定石です。
- JPEGからWebPまたはAVIFへの変換(同じ品質で容量50〜70%削減)
- 表示サイズに合わせたリサイズ(横幅2000pxの画像を1200pxで表示しているなら、1200pxに縮小)
<picture>タグで端末別に最適な画像を出し分け- ヒーロー画像に
fetchpriority="high"を指定
サーバー応答時間の短縮
ブラウザがサーバーに最初のリクエストを送ってから応答が返るまでの時間(TTFB)が遅いと、LCPも自動的に遅くなります。共有サーバーから専用サーバー・VPSへの移行、CDN(Cloudflareなど)の導入で大きく改善できます。
クリティカルCSSのインライン化
ファーストビューの表示に必要なCSSだけをHTMLに直接埋め込み、それ以外のCSSを遅延読み込みすると、レンダリングの開始が早まります。実装難度は高いですが、効果は確実です。
INP(Interaction to Next Paint)を改善する
INPは2024年3月から導入された比較的新しい指標で、それまでのFID(First Input Delay)を置き換えたものです。ユーザーがクリック・タップした瞬間から、画面が応答するまでの時間を表します。
JavaScriptの実行時間を減らす
INPの悪化原因の多くはJavaScriptの長いタスクです。具体的には次の対策があります。
- 使っていないライブラリの削除(jQuery、lodash全体読み込みなど)
- 大きな処理を
requestIdleCallbackやsetTimeoutで分割 - サードパーティスクリプト(広告、解析タグ、チャット)を遅延読み込み
- イベントハンドラの中で重い処理を避け、必要なら
requestAnimationFrameで次フレームに回す
第三者スクリプトの管理
Google Analytics、Facebookピクセル、チャットボット、ヒートマップツールなどを次々に追加していくと、INPは確実に悪化します。Google Tag Managerで一元管理し、本当に必要なものだけを残すという「引き算」の判断が重要です。
CLS(Cumulative Layout Shift)を改善する
CLSは「ページの表示中にレイアウトがどれだけズレるか」の指標。読み込み途中で広告が出てきてクリックしたい位置がズレる、画像が遅れて表示されてテキストが下に押し下げられる、といったストレスを数値化したものです。0.1以下が目標です。
画像・動画に幅と高さを指定する
<img> や <video> タグに width と height 属性を必ず指定します。ブラウザは事前に領域を確保でき、コンテンツが読み込まれた後にレイアウトがズレません。
Webフォントの読み込み戦略
フォントファイルが遅れて読み込まれると、フォント切替時に文字幅が変わってレイアウトがズレます(FOUT現象)。対策として:
font-display: swapの指定でブロッキングを防止<link rel="preload">でWebフォントを優先読み込みsize-adjustCSS プロパティでフォントメトリクスを揃える
動的に挿入される要素
ユーザー操作後にバナー・モーダル・通知を挿入する場合は、初期状態で領域を予約しておくか、既存コンテンツの上に重ねる(absolute/fixed)構造にします。コンテンツの間に押し込む形は避けます。
計測ツールの使い分け
Core Web Vitalsの計測には複数のツールがあり、それぞれ目的が異なります。
PageSpeed Insights — 個別ページの診断
最も基本的なツール。URLを入力すると、モバイル・PCそれぞれの3指標と改善提案が表示されます。ラボデータ(理想環境での計測)とフィールドデータ(実ユーザーの計測)が両方表示されるのがポイントで、SEOに影響するのは後者です。
Search Console — サイト全体の状況把握
「ウェブに関する主な指標」レポートで、サイト内のどのページ群が遅いかをまとめて確認できます。個別ページではなくサイト構造としての問題を見つけるのに有効です。
Chrome DevTools — 詳細な原因分析
Performanceパネルでネットワーク、JavaScript実行、レンダリングの内訳を秒単位で確認できます。改善施策後にどの部分が速くなったかを検証するのに使います。
改善前にやるべき計測チェックリスト
- PageSpeed Insightsでモバイル版のスコアを記録(後で比較するため)
- 3指標の現在値をスクリーンショットで保存
- Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」レポートを確認
- 主要ページ(トップ・サービス紹介・問い合わせ)それぞれを計測
- 計測時の通信環境を統一(Wi-Fiか4Gか)
WordPressサイトの改善ポイント
国内中小企業サイトの多くがWordPressで構築されており、いくつか定番の改善ポイントがあります。
テーマ選択
機能が豊富なテーマほど、デフォルトで読み込むCSSとJavaScriptが多く、Core Web Vitalsが悪化しがちです。軽量テーマ(Cocoon、Snow Monkey、SWELLなど)に切り替えるだけで指標が改善するケースは多くあります。
プラグインの整理
プラグインは便利な反面、それぞれが独自のCSS・JSを読み込みます。10個以上入っているサイトは、半分以下に減らせないか定期的に見直すと効果的です。特にスライダー系、SNSシェアボタン系、関連記事表示系は重い傾向があります。
キャッシュ・最適化プラグイン
WP Rocket、W3 Total Cache、LiteSpeed Cacheなどのキャッシュプラグインを導入すると、サーバー応答時間とLCPが大きく改善します。設定項目が多いため、無料の診断を活用しながら段階的に有効化するのが安全です。
改善優先度の決め方
すべての項目を一度に対応するのは現実的ではありません。次の順序で取り組むと費用対効果が高くなります。
- 画像の最適化 — 工数が小さく効果が大きい。WebP変換と適切なサイズ指定だけでLCPが1秒以上短縮することもあります。
- 使っていないプラグイン・スクリプトの削除 — 「念のため残している」ものを整理。INPとLCPの両方に効きます。
- 画像・動画への width/height 指定 — CLSをほぼゼロにできる確実な対策。
- Webフォントの読み込み調整 — font-display と preload の設定で、軽い実装の割に体感が改善します。
- サーバーまわりの強化 — CDN導入や上位プランへの移行。費用は発生しますが効果は確実です。
- クリティカルCSSのインライン化 — 専門知識が必要。ここまで来たら上級者向け。
ケーススタディ:建設会社サイトの速度改善
地方建設会社サイト — LCP 5.2秒 → 1.8秒
「ページが重くて離脱率が高い」という建設会社のコーポレートサイト改修案件。PageSpeed Insightsで計測したところ、モバイルのLCPが5.2秒、CLSが0.31という状態で、検索順位もここ半年で大きく下落していました。
施策として、ヒーロー画像のWebP化と適切なサイズへの差し替え、フォントのdisplay: swap適用、未使用JavaScriptの削除、第三者スクリプトの遅延読み込みを実施。並行してCLSの主原因だったヒーローセクションの高さ予約と、Webフォント切替時のフォントメトリクス調整を行いました。
※具体的な数値は事例の典型像を示すものです。実際の成果は元のサイト状態によって変動します。
改善後の運用
Core Web Vitalsは一度クリアして終わりではありません。コンテンツ追加・プラグイン追加・テーマ更新のたびに数値は変動します。月1回の定点計測を習慣化すると、悪化に気づくのが早くなります。
Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」レポートはGoogleがメールで悪化の通知も送ってくれるため、設定だけしておくと早期発見が可能です。改善は積み上げ、悪化は防ぐ、というスタンスが長期的に効きます。
よくある質問
Core Web Vitalsをクリアすると検索順位は本当に上がりますか?
コンテンツの質や被リンクほどの大きな要因ではありませんが、競合と内容が拮抗している場合に明確な差をつける指標です。特にモバイル検索で影響が出やすく、長期的にプラスに働きます。
PageSpeed Insightsのスコアが70点なのは問題ありますか?
スコア自体よりも、3指標(LCP・INP・CLS)がそれぞれGood範囲に入っているかが重要です。スコアは構成要素のサマリーであり、SEOへの直接影響は3指標の方が強くなります。
Wixで作ったサイトでも改善できますか?
Wixはサーバーやコードの細部を触れない制約があり、根本的な改善には限度があります。それでも画像最適化やプラグイン整理(Wix App Marketのアプリ整理)で改善余地はあります。本格改善はWordPressへの移行も選択肢です。
改善作業を外注した場合、どのくらいの費用感ですか?
現状診断のみであれば数万円、画像最適化やプラグイン整理を含む実装作業まで含めると10〜30万円が目安です。サイトの規模やCMSの種類によって変動します。